社労士事務所での見習い期間

社労士事務所の面接には落ちたものの、仕事が休める平日にその事務所での見習いをさせてもらうことができたのは、当時の私にとってはとても大きなことだった。

その事務所は30件ほどの顧問先を抱えていて、事務員をひとり雇っており、その方が一時期辞めたいという話が持ち上がって、求人広告まで出したわけだが、結局その方の気が変わったのと、(私を含めて)丁度良い応募者がいなかったのとで、その方が引き続き勤務されることとなったらしかった。
私は3直2交代勤務の中の平日の休みを利用して、月に3回ほどその事務所に通うこととなった。

見習いの内容としては、事務手続きがほとんどだった。
事務員の方と一緒に車に乗って、顧問先を回り、社員の出入りや、労災などの書類作成と提出を行う。
事務員の方は、社長さんと話すことは苦手な方であったが、書類作成に関しては実に素晴らしいスキルを持っていた。社労士の資格は運悪く落ち続けておられるようだったが、実務の知識はほぼ完璧。
しかも勤勉で、時間のある時などは、用事が無くても顧問先に顔を出して挨拶をしたり、とてもマメである。

私も得喪関係の書類などを何度か教えて貰いながら書かせて頂くことができ、社労士としての仕事のイメージを自分の中に持つことができた。また、移動中にその事務員さんと色々なお話をすることができたのも大きかった。
もちろん実際には、書類作成だけではなく、経営者とのコミュニケーションという最重要課題が他にあったわけだが、右も左も分からない、単なる有資格者にとっては、実務のイメージが持てただけでも、随分と開業へのハードルが低くなったと思う。

ただ、その事務所では、肝心の所長さんについて社長との本質的な相談の場に立ち会うことを許して貰えなかったので、その点では他で経験する必要があった。
それでも、所長からは、ご自身が(実務経験ゼロから)開業された時の苦労話などを聞かせて頂き、自分の開業戦略構築のためにはとても貴重な情報を得ることができた。

その所長には後日色々な経営者団体も紹介して頂いたし、今の私の状況のかなりの部分がこの時の経験が元になっている。

何年も社労士事務所で勤務するというのは、若い独身の方ならいいかもしれないが、私は断然、いきなり開業派である。

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