2009年08月02日

コンサルタントの蓮室光雄さんのセミナー

PSRの斡旋で中小企業コンサルタントの蓮室光雄さんのセミナーに行ってきた。
蓮室さんはPSRで「人事コンサルタント養成講座」や「決算書から作る目標管理」といった10万円以上する講座を開催している。
今回は「決算書から作る目標管理」のプレセミナー。
いきなり高額なセミナーを申し込むのには勇気が要るが、プレセミナーで先生の実力を目の当たりにすると、高い投資に踏み切る決意が付けやすくなる。

蓮室さんは、セミナーのことを勉強ではなく、「仕入れ」だという。
まさにその通り。
我々経験のない社労士が、中小企業に対して風土改革のファシリテーター役を担うのだから、その価値は10万や20万では利かない。

社労士も、従来の手続業務だけでは差別化は難しい。
どうしても人事面での改善・改革に力を発揮することが求められる。
そのためのツールのひとつが、「決算書から作る目標管理」だ。

ドラッカーの提唱した目標(による)管理はあまりにも有名だが、実は数多ある目標管理の本の中にも、肝心の目標をどうやって決めたらいいかが書かれていないらしい。
よくあるのは数値を使えというものだが、実際には数値で目標を立てようがない部署が企業にはある(総務部など)。

そこで、まず企業の経営状態を表している決算書から、企業全体〜各部門〜各部署〜各社員へと順次目標を作ってゆくというのが今回のセミナーの主旨だ。

ちなみに決算書を理解するという時に、簿記や仕分け記帳の仕方から始めてもなかなか本質にはたどり着けない。
決算書を作るための勉強と決算書を読むための勉強とはまったく違っており、ここで必要なのは「出来上がった決算書を見て、経営計画を立てられる能力」のこと。
これは結局、経営者に通常求められる能力と同じだ。

経営者だけが決算書を理解して(経営者でも決算書を理解していない人は大勢いるが・・・)、経営者が経営計画と全社目標を作るのが通例だが、それを社員に実行させようとしても、社員の方はなぜそういう目標ができたのかを理解していない。そうなると、売上高30%アップ!などという目標に対して、社員の方はその30%の根拠に合意できていないから、なかなかその目標の重要性を理解できない。結局は、それがただのノルマになってしまうために、賃金のインセンティブと組み合わせしないと機能しなくなる・・・。

ところが、蓮室さんが口を酸っぱくして言っておられたのは、目標管理と人事考課を連動させてはいけないということだった。
これをやってしまうと、目標の達成率を上げるために低い目標を立てることや、その目標を上司に納得させる言い訳づくりばかりに社員がエネルギーを使うことになってしまい、まったく意味がなくなってしまう。

蓮室さん曰く、
人間は賃金だけをモチベーションとして働くわけではない。
賃金はハーズバーグの二要因理論でいうところの衛生要因であって、人が働く場合の動機付けとしてはあまり機能しない。
例えば月給20万円の人が1万円降給されたときの不満と、月給100万円の人が1万円昇給したときの喜びを比較すればわかる。
賃金は一定水準を超えて上昇しても喜びをもたらさないが、一定水準を超えて減少すれば強い不満につながる。
こういう要因を衛生要因という。
逆に動機付け要因とは、人をその行動に駆り立てる要因のこと。
人を働くことに駆り立てる本質的な目標は賃金ではない。
これは体感的に理解するしかないのだが、何かの仕事をしたときに「この仕事をやっていて本当に良かった!」と思えるようなことだ。

例えば私は以前、ホテルで働いていたことがあるが、自分が新人の頃に担当した結婚披露宴の新郎新婦が数年後の結婚記念日に赤ちゃんを抱いて食事に訪れたとき、その本当に幸せそうな二人から、披露宴の時の思い出話を聞いたことがあった。その披露宴を担当した頃は、まだまだ仕事に慣れていなくて、色々と失敗もしたがとにかく一生懸命だった。その頃のお客さんがこうして思い出の場所を訪れてくれる。お二人の思い出は自分にとっても思い出であった。
この時私は何ひとつとして金銭的な恩恵を受けはしなかったが、間違いなく「いい仕事をした後の何とも言えない充実感」を味わうことができた。そしてその時の喜びは、自分の仕事に対するプライドとモチベーションにとても強い影響を与えた。

マズローの欲求5段階理論では、このような動機付けの要因となる最も高度な欲求のことを自己実現欲と呼んでいる。
だから、本来高貴な労働の喜びを、単なる賃金という対価でしか評価しないようでは、社員のモチベーションを本当に上げることはできない。
むしろ目標管理と賃金評価とは切り離して行うべきであると。
そのためには、「目標」そのものが本当に重要になる。

「目標」そのものが本当に唯一無二のものであるならば、それを達成しただけでその人は十分に満足するはずだ。
そのためには、今の会社の状態をきちんと社員たちが理解しなくてはならない。会社がどのような状態であり、社員全員の幸せを考えたとき、今期は何を達成しなくてはならないのか?
それを社員全員に落とし込むことができれば、会社は間違いなく変わる!
そのために社員に決算書を読ませ、そこから大中小の目標を立てる作業が必要となる。
この「作業」の部分は、ファシリテーションの技術が非常に重要だ。
決算書というインプットから、社員たちがどんなアウトプットを出してくるかはファシリテーターの手腕によるところがとても大きい。。)ブログパーツ


kimmasa1970 at 16:26コメント(0)社労士 開業 | 社労士 学習法 

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