2013年02月11日

士業事務所の人事戦略考察

人を雇うというのは難しい。

業務を回していかなければならない状況だと余計に大変だ。

また、士業事務所で人事労務に悩んでいる人は案外多い。

長期的に考えると、独立というリスクがあるからだ。

また、教育に非常に多くの投資が必要。

だから、せっかく教育した従業員が独立してしまうという話をよく聞くが、これは従業員にとっては大きなメリットがあり、事務所にとっては大きなリスクである。

私が開業して間もないころに「うちの事務組合を継がないか?」と言われた先生がいた。

その方はすでに70を過ぎていたが、後継者らしき人はおらず、これまた高齢の事務員さんが2人いるのみ。

あいにく遠方だったため、話は立ち消えになったが、今はどうしておられるのだろう?


私も労働者だったので分かるが、労働者にとって会社のことより自分のことの方が大事なのは当たり前だ。

まして独立となれば、本人も必死だ。会社の顧客を奪うことに何のためらいがあろう?
自分が退職することで、会社が窮地に陥るとしても、そんなこと知ったことではない。


そういう点では独立を志望する人材が入ってこないように仕向ける制度や、結果的に独立した人材が応分の教育費を支払う制度も必要だ。

士業仲間で聞くところによれば、その事務所に勤務した後で独立する場合は、売上の一定割合を3年間払うという契約をさせる事務所もあるという。

確かに事務所にとっては、そこで何年も勤務してきた経験を持つスタッフが辞めることは痛手だろう。

ただ、独立すること自体は本人の自由だ。それを会社が邪魔することはできない。事務所としては教育に投資したにも関わらす、その人が独立してしまう場合に、教育費を返してもらいたいという気持ちはあるだろう。


もしくは会社に長年勤めてくれる人にインセンティブを与える手もある。

年功序列で給与を上げるのはそのひとつ。

ただし、パートの場合は、あまり給与を上げると扶養の範囲(年収130万円)を外れてしまう危険がある。

だとしたら、退職金か。

中退共の掛け金を年功序列にするとか。

毎月120時間働くパートの時給を100円上げる代わりに中退共を掛けると月額12000円になる。

つまり毎月12000円の中退共を掛ければ、時給100円アップとほぼ同じ金額になる。

ちゃんと扶養の範囲を守りつつ、なおかつ本人にメリットがある。

あと、中退共は2年以上掛けないと掛け金よりも退職金が安くなってしまうので、長期勤務者にメリットが自然と生まれるようになっている。

中退共は全員加入が原則だが、有期雇用契約の従業員は対象外とすることができる。

最初しばらくの間は有期雇用契約〜ある程度メドが立った段階で無期雇用&中退共加入。

スキルの高い人材には時給ではなく退職金の掛け金を上げることでインセンティブ付与。

それほどでもない人材には安い掛け金を設定(短時間労働者は2000円から可能)。



人材の教育には相当のコスト(特に時間)を要するので、デキる人材が居着く合理的な人事制度が士業事務所にも必要だと思われる。
長期勤務のメリットが増えれば、リスクを冒してまで独立しようという人材は減る。

私も自分でイチから独立したが、既存事務所に勤務して、ビジネスを覚えるメリットはやはり大きい。
独立を志すのは自由だが、それまでに投資した教育費を返してもらうという考え方も一理ある。

こうした制度の存在が、事務所のメリットと従業員のメリットを一致させるのではないだろうか?

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kimmasa1970 at 14:13コメント(2) 

コメント一覧

1. Posted by ゆう   2013年02月17日 16:09
はじめまして。なにわのプロゼミを本年度受講しておりますゆうと申します。
過去記事を拝見し、大変参考になりました。なりすぎてどこがどうと書こうとすると山になりそうです(^^;;
この記事の中退共についてもそんな考え方もあるのか!と目から鱗でした。
あと中土井先生の講義の感想には爆笑してしまいました。ほんとおっしゃるとおりでしたw
プロゼミの絡みで何かの折にお会いできるかもしれないと思っております。ぜひお話伺いたいです。
また寄らせていただきます。ありがとうございました。
2. Posted by ブログ主   2013年02月28日 02:15
読んでいただきありがとうございます。
中退共については、結構同じようなことをしている会社はたくさんあります。
社会保険の130万円のカベはパート労働者にとっては大きな足かせなんです。
退職金は苦肉の策です。
私も6年前に同じようにプロゼミに通って、ご覧のとおり手探りでずっとやってます。
プロゼミを卒業しても実際には行政協力から抜け出せない人や、結局会社員を続ける人など、何のためにプロゼミを受けたのか傍目からは理解に苦しむ方の割合は結構高いです。
プロゼミを生かすも生かさないもその人の自由ですが、自分が一生懸命学んだことを生かさないとしたら、もったいないと思ってしまいます。
私は運良く(運悪く?)行政協力をクビにして貰えましたので、結果的に開業することができました。あの時時間を無駄にせずに済んだのはラッキーでした。

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