カイゼン

2007年12月10日

トヨタに残業代の重荷 カイゼン活動の社員「過労死」
(朝日新聞より)
 トヨタ自動車に勤務していた内野健一さんの急死を労災と認定した名古屋地裁の30日の判決は、トヨタの躍進を支える「創意くふう提案」や「QCサークル活動」などを、労災認定の際には「業務」と判断する考えを示した。こうした活動を「個人の自発的な提案」とみなして残業代を払っていない企業には衝撃を与える内容だ。

 トヨタは、社員が創意くふう提案に費やす時間や、月2時間を超えるQCサークル活動を自発的活動とみなして、残業代も支給してこなかった。

 QC活動を「業務」と認定した理由について判決は、(1)会社紹介のパンフレットにも積極的に評価して取り上げている(2)上司が審査し、その内容が業務に反映される(3)リーダーは活動の状況を自己評価していた、などの点を指摘。QC活動はトヨタの自動車生産に「直接役立つ性質のもの」であり「使用者の支配下における業務」とした。

 原告側の弁護士は「外見上、自発的な活動としながら、企業が残業代を払わずに労働者に仕事をさせる巧妙なシステム。トヨタの急成長の秘密の一つだ」と指摘する。

 残業代の支払いを迫られれば、労務コストの負担は高まる。原価低減を武器に国際競争を勝ち抜いてきたトヨタにとって足かせになりかねない。

 トヨタの労使間の協定は、1カ月の残業時間を、厚生労働省が「業務と過労死の関連性が強い」とする80時間を超えないように定めている。今回認定された106時間余は大幅な超過。このまま判決が確定した場合、労使間の懸案である労働時間短縮のハードルも従来以上に高まる。

 類似の手法はホンダなどにも導入されており、日本の製造業に及ぼす影響は大きい。


これは結構画期的な判決だ。
ただ、内部にいた人間としては、会社全体の労務コスト負担はそんなに問題にはならない気がする。というのは、残業代としては支払われてこなかったが、実際にはそれなりの手当がQCサークル活動や創意くふう提案には支払われていたため。また、私のいた大手関連企業では、QCは毎月1回、午後1時〜2時の就業時間内に行われていた。それ以外にも発表会などはあったが、その時には別の手当が支給される仕組みになっていた。
会社として困るのは、これを労働時間に含めなくてはならない場合、36協定超えが頻繁に発生してしまう点だと思う。

労働者にとっては、実質的な労働時間であるのは明らかなので、きちんと扱われることになったのは良いことだと思う。多くの労働者の待遇改善につながったのだから、亡くなられた内野さんもきっと喜んでいてくれることだろう。
この判決によって、日本の労働環境は一歩前進すると思う。


kimmasa1970 at 00:02コメント(0)トラックバック(0) 
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