サービス残業

2007年10月06日

監督指導による賃金不払い残業の是正結果

厚生労働省の調べによると、2006年度にサービス残業の是正指導を受けて、未払い残業代を100万円以上支払った企業数は、前年度比1割増の1679社で過去最高となった。

厚生労働省監督課によれば「景気回復で仕事量が増加する一方で、企業が労働時間を管理する意識が不十分」とのこと。

業種別では、製造業が430社で最も多く、次いで商業の421社となっている。

支払額の上位は軒並み地銀で、数億円単位の支払いが並んでいる。

昨年度残業代がらみの是正勧告数は、全国で約2万件。このうち悪質な39件が書類送検された。

                          (日本経済新聞より)


製造業と商業で是正件数が多いのは、景気の良さに加えて、労働時間の把握がしやすいことも挙げられる。地銀で支払額が多いのは、給与水準がそれだけ高いからであろう。

サービス残業問題は、ここ何年も是正指導が行われているにも関わらず、あまり効果が見られない。
そもそも経営者側は、労働時間に対してではなく、労働の成果について賃金を支払いたいと思っているのに対し、労働基準法上、賃金はあくまで時間が基準だという点に無理がある。
また、労働時間管理についても、具体的な管理の方法までは法定されておらず、たまたま監督署が来ちゃったらアンラッキーみたいな感覚(通達はあるが、経営者はそこまで知らない)。
違反した場合の制裁についても、過去2年分の支払いがせいぜいで、送検されて罰則が適用されるのは0.2%である。
本気で根絶しようとするなら、飲酒運転の1杯30万円のような誰にでも理解可能で思い切ったやり方が必要ではないだろうか?

kimmasa1970 at 14:21コメント(2)トラックバック(0) 

2007年09月24日

2007年09月23日宅配便大手「ヤマト運輸」が集配業務をするドライバーにサービス残業をさせていたとして、大阪南労働基準監督署から労働基準法違反(賃金未払い)で是正勧告を受けていたことがわかった。同社は勧告内容を認めており、「未払い賃金は支払う」としている。

 ヤマト運輸によると、ドライバーの労働時間は、商品の配達状況などを記録する携帯端末「ポータブルポス(PP)」で管理。ドライバーがPPの電源を入れた時を「出勤」とし、電源を切った段階で「退勤」としている。

 同監督署が今年7月、大阪市内の集配センター2カ所に立ち入り調査した際、従業員計約40人のうち一部のドライバーのPP記録が、給与計算に使う「勤怠記録」の労働時間より長かったことが判明。従業員らに事情を聴いた結果、電源を入れる前や切った後に作業をしていたこともあるという。

 同監督署は同月、同社関西支社(大阪市)に対し、集配センター2カ所の従業員について未払い賃金の支払いと管理体制を是正する改善報告書を10月末までに提出するよう勧告した。

 ヤマト運輸広報課は「一部の集配所でタイムスケジュール通りに勤務をしなかったのが原因で、会社として指示していない。未払い額は調査中」としている。
(以上、asahi.comより)


ヤマト運輸がどういう体質の会社かは知らないが、あそこまで大手になると社員が勝手にサービス残業をしたという言い訳は通用しない。
現代の大手企業に求められているのは、「サービス残業を会社が強要しない」というレベルではなく、「社員が勝手にサービス残業をすることをも企業側が取り締まる」というレベルの労務管理だ。

平成13年の厚生労働省の通達【労働時間適性把握基準】によれば、
・管理監督者やみなし労働時間制が適用される労働者を除くすべての者について、
・使用者は労働時間を適性に把握する役務を有している、
とされており、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置についても
・使用者が自ら現認したり、
・タイムカード等の客観的な記録により確認したり、
しなくてはならないとされている。また、労働時間の管理の方法として自己申告制も法的に認められてはいるが、
・自己申告制の導入前に十分な説明を行うこと
・自己申告が正しいものであるかどうかを実態調査すること
などが義務づけられている。

今回の「ポータブルポス」による記録管理の方法は、限りなく自己申告制に近いものであり、従業員が「電源を入れる前や切った後に作業をしていたこともある」と証言していることからも、会社側の説明不足、管理不行届きは免れない。

会社側としては、社員が勝手にサービス残業したことまで会社のせいにされてはたまらない、というのが本音だと思うが、日本の労働基準法の考え方は今や「サービス残業を強要しない」というレベルではなく、「サービス残業をさせないように会社が管理する」というレベルを求めている。

労働基準法は労働者を守ることを目的とした法律なので、「強要しない」のレベルで十分ではないかという意見もあるが、労働者全体の立場から考えてみたとき、どちらのレベルがより労働者保護に厚いと言えるだろうか?
日本人特有の性質からして、自主的なサービス残業を会社側が放置すれば、必ずサービス残業を美徳とする風潮が社内に生まれる。いわゆる「みんながやっていることだから・・・」という感覚だ。そうした風潮が過労死やメンタルヘルス不全を引き起こすことが近年徐々に明らかになっていった結果、先のような通達が出されてサービス残業を黙認する会社を当局がビシバシ指導するようになったわけだ。

おそらく未だに「強要しない」のレベルで許されると勘違いしている方は多いと思うが、監督署の側は明らかに方針を変えてきているので、どうか同じ轍を踏んで社名にドロを塗ることのないように気をつけたいところだ。ブログパーツ

kimmasa1970 at 22:14コメント(0)トラックバック(2) 

2007年04月01日

 紳士服のコナカ(横浜市戸塚区)は3月29日、一般従業員約720人に、時間外労働や公休未取得などで未払い賃金があったと発表した。総額約9億円を支払うとともに、残業代がつかない店長ら管理職約380人にも「特別賞与」として総額約4億7千万円を支払う。

 特定非営利活動法人(NPO法人)労働相談センターなどのブログ(日記風ホームページ)への書き込みを通じて従業員らが結束。労働組合を組織し、サービス残業の改善を目指していた。

 これを受けてコナカは2005年2月から2年間の勤務実態を調査。その結果、一般従業員に約六十万時間分に及ぶ時間外や休日労働の未申告があったと認めた。

 同社は「今後は関係諸法令の順守を徹底する経営を一層強化したい」と話している。

(神奈川新聞より引用)



「ブログがきっかけで会社が9億円(店長分を含めると約15億円!)もの大金を支払わされるとは、恐ろしい世の中になったもんだ。これからはしっかり社労士を顧問に迎えてコンプライアンス経営をしないと生き残れないぞ・・・・」と世の中の社長さんたちが思うきっかけになってくれるといいと思います。

おそらく、2年前よりも前から同様の勤務実態だったことが予想されるので、社員の人たちもさぞ喜んでいることでしょう。

不思議と、働く側の人間にとっては、結局総額が同じだったとしても、法違反でしかも際限なく働かされる可能性のあるサービス残業よりは、基本給が安くてもいいから働いた分はきっちりもらえる方が納得して働けるものなんですよね。
確かに入る前は基本給に目が行くかもしれないけど、実際入ってみてサービス残業ばっかだと騙された気になるもんです。
「まじめにがんばった人がちゃんと評価される仕組み」の方が、単純にいくら貰えるかよりも働く人を納得させる力があるんだと思います。法律以前に。

kimmasa1970 at 20:36コメント(0)トラックバック(0) 
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