労働基準法

2008年05月03日

新宿労働基準監督署に電話してみた。
電話に出た若い男に内容を話してみるが、いかにも煙たげな対応。15年前なんて資料も残っていないし、当時の担当者も今はいないので、調べようがないという一見まともな言い分だが、私はそんなことでは引き下がらない。
なんとかして諦めさせようとする電話口の相手(もしかすると行政協力の社労士かも? 話しぶりからはそれほど労働基準法に精通している感じがしない)に対し、釘を刺す。
「あなたの職権で今すぐ資料が残っていないなんて言い切れるのですか? 確かにお金そのものは時効かもしれませんが、私は当時の処分が適正だったかどうかを確かめたいだけなんです。それに対していいかげんな対応をすると、後々事が大きくなった場合にあなたが困ることになるかもしれませんよ」
私も3ヶ月役人と顔を突き合わせて仕事をしてきたので、彼らの弱点は良く知っているつもりだ。少しでも協力を惜しもうとする役人には、納税者としての強権を振るうのが効果的である。
「過去に実際にあった行政処分について、納得がいかないから相談をお願いしているだけなんです。新宿監督署としてはそれには協力できないと仰るのですか?」
それまでは役所の権限を笠に着て偉そうな口を訊いていた相手の態度が変わった。
「・・・それではどうすることをお望みなんですか?」

私は当時その事件を担当した可能性のある監督官を可能な限り調べて貰うようお願いした。
そして生計を維持していないという理由で立て替え払いがされなかった点については、監督署長に意見を聞きたいと伝えた。

電話を替わったのは次長の女性。私は当時の事情を話してみた。
次長の話では、家庭教師派遣センターという業態が生まれたのが丁度その頃で、当時はまだ労働者派遣法もなく、そのような形でのアルバイトが「使用者の指揮命令下」という点で労働に該当するかどうかという議論が盛んに行われており、そんな中、中央から通達があり、センターに派遣される家庭教師については、総合的な実態に基づいて判断せよということになったらしい。

なるほど。つまり当時立て替え払いがなされなかった理由としては、家庭教師は労働者ではなく、請負だと判断された可能性があるようだ。
しかし、腑に落ちない点はまだある。
当時の監督官の説明では、「生計を維持しているかどうか」が論点になっていた。これは労働者性云々とは関係ないはず。しかも、当時学生でなくプロの家庭教師としてその給料で生活していた人に対しては立て替え払いがなされたと当時の監督官から聞いた。
家庭教師の労働者性について、正しく判断がされていたとしたら、このようなことはありえないはずだ。
私は今でこそ役人だって間違えることがあるという認識を持っているが、当時はさすがにそこまで考えなかった。ましてや、社労士の勉強をしていたわけでもなかったので、労働基準法なんて知らなかった。
あの時、もう少ししつこく食い下がって、もっと色々調べていたら、もしかしたら判断がひっくり返ったかもしれない。

とりあえず、次長との電話は仕事の関係で途中にせざるをえなかったが、当時の監督官については可能性のある人をリストアップしてもらった。
その人は当時20代か30代の女性だったので、今では姓が変わっている可能性もあり、しかも監督官は全国の労働局に転勤があるため、6〜7人の人が候補として挙がったが、いずれも別人のようで、当時担当した監督官に連絡をとることは結局できなかった。

いずれにしても、家庭教師が果たして労働者性を認められるのか、認められないのか、認められるとしたらどんな場合なのか、せめてその判断基準を知りたい。
少なくとも、総合的な実態などという言葉ではなく、もっと現実的にイメージできるような形で捉えておく必要があると思う。

当時の状況としては、確かに指揮命令下という点では弱いかもしれないが、年端もいかない大学生からピンハネして派遣するというスタイルが、対等な商行為としての請負契約と言えるのかどうか? たとえば、タレントなども、既に名の売れた歌手や女優なら請負関係とみなされるが、年端もいかないアイドル歌手なんかは、労働者とみなされて最低賃金法や、労働基準法が適用になる。そういう点から考えれば、大学生の家庭教師派遣は、保護すべき労働者とするのが適当ではないのだろうか?(つづく)


kimmasa1970 at 01:14 

2007年04月07日

さあ、意気揚々と持って帰った真島の基本書と問題集。資格取得に向けてのやる気は十分だ。

試験は8月下旬だから、まだ8か月ある。10科目あるから、1科目3週間で進めば最後に2週間も余るな・・・。
実際に学習されている方は、きっと腹を抱えて笑っておられると思いますが、その時の私はマジでこんな感じでした。テキストを読むまでは。

実際にテキストを開いて頭から読み始める。労働基準法とは・・・・。
う〜ん、なんとなく書いてあることの意味は分かるけど、だから何なんだろう? 
この時点では基本書の本文を読んだだけで、まだ細かい注釈には目を通してはいなかった。
とりあえず、この前インターネットで見つけた過去問題を解いてみることにした。


第36回 択一式試験問題

労働基準法及び労働安全衛生法
[問 1]  労働基準法の総則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 船員法第1条第1項に規定する船員については労働基準法は適用されず、したがって、同法第1条「労働条件の原則」、第2条「労働条件の決定」等の労働憲章的部分も、当然適用されない。
B 家事使用人と雇主との間に結ばれる家事一般に従事するための契約は、民法上の雇傭契約であると同時に労働基準法が適用される労働契約でもある。
C ある法人企業の代表者が労働基準法第24条の規定に違反して賃金を支払わなかった場合には、法人の代表者の行為は法人の行為として評価されるから、当該賃金不払いについては、当該法人企業に対してのみ罰則が科される。
D 公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害するおそれのある場合においては、公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に付する旨の就業規則の条項を適用して従業員を懲戒解雇に付することも許されるとするのが最高裁の判例である。
E 労働基準法第15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、同法第1条「労働条件の原則」及び第2条「労働条件の決定」でいう労働条件の範囲とは異なる。

正解 E


正直言って、テキストの本文を一通り読んだ後でもなぜEが正解なのか理解できなかった。
受験経験者なら分かると思うが、社労士試験の労働基準法は、条文そのまんまで出題されることはほとんどなく、条文を基にした判例、通達といった細かい内容が扱われることが多いのである。
そして、私が頼みにした真島の基本書では、このような細かい内容に関してはすべてを掲載しているわけではなく、重要な部分のみを注釈の部分で扱っているようなのだ。
だから、基本書の本文だけを読むのはさほど難解には思わなかったものの、それだけではすべての過去問題を解くことができる知識が手に入るわけではない、ということだ。
どうやら過去問には過去問専用の解説付き問題集が必要らしい。

実は私の買った「真島のかんぺき社労士」は過去問題集ではなく、一問一答式の弱点補強用の問題集だった。

仕方がない。私は、翌日、再度書店に足を運び、先日目にした過去問題集を買ってきた。
「小野純の私が教える社労士 労働法編・過去問題集」
「鈴木保代の私が教える社労士 社会保険編・過去問題集」

これでようやく実際の本試験問題の解法にたどり着ける。そう思って、解説を読み始めたが、これがなかなかもって難解だった。
解説はあるのだが、掲載スペースの都合か、「法××条により誤り」としか書いてないものもある。そういう場合は基本書の該当ページを探すのだが、それがまたひと苦労。
基本書と過去問題集を何度も行ったり来たりして、さらにインターネットで関連記事を検索したりしてようやくひとつの肢が理解できるといった感じだ。1問5肢を理解するのに1時間以上かかった。

とにかく、受験勉強に必要な、知識による過去問題へのアプローチの仕方が全然掴めない。
それでもこれは最初だから苦労するんだと自分に言い聞かせて基本書を読み進め、一週間ほどで労働基準法を読み終わり、労働安全衛生法へと進んでいった。ただし、この時点では内容を理解したというにはほど遠く、単に読んだだけの状態である。
(つづく)


kimmasa1970 at 17:36コメント(0)トラックバック(0) 
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